コレクション: 2012年1月 リーダーシップ不在の悲劇 検証 失敗の本質

1984年に発表された『失敗の本質』(ダイヤモンド社)は、日本軍の戦略・戦術を組織論的視点から分析した不朽の一作として、いまなお版を重ねている。そこで明示された日本軍の組織上の欠陥--戦略なき意思決定、戦力の逐次投入、情報と補給の軽視、中央と現場との葛藤など--は、不幸にも、東日本大震災後の政府や東京電力における組織的対応のプロセスに再現されてしまった。未曾有の危機に直面した現代の組織が、なぜ数十年前の組織と同じ過ちを繰り返したのか。それはひとえに、日本人が「失敗の本質」を真に認識していないからにほかならない。『失敗の本質』に限らずとも、世の戦略論の古典が示唆する“失敗”の教訓を大別すれば、以下の2点に尽きる。一つは、「戦略の失敗を戦術で補うことはできない」ことであり、それ以上に重要なもう一つの要素こそが、「危機の前ではただ一人の傑出したリーダーの統率力が何事にも勝る」ことである。第2次世界大戦中、イギリスがドイツに屈せず起死回生の勝利を手にしたのは、ウィンストン・チャーチルの奮迅の活躍に拠るであろうことは論を待たない。ひるがえって日本では、大局観を持つリーダーが疎んじられ、組織内の均衡を重んじる調整型リーダーばかりが権力の中枢を占め、国家を迷走させた。リーダーシップを欠く組織の「失敗の本質」を、この災厄の年にこそ、あらためて思い起こすべきであろう。

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